暫くの間、「情報システム構築技術者としての上級SE」について整理していきます。
前稿で整理したように、上級SEに期待されるのは、「顧客の要望を聞き出し咀嚼し整理し、構築する情報処理システムの姿を明らかにする(設計する)する技術者」としての役割、および、「システム構築プロジェクトを運営していく管理者」としての役割です。
その役割を遂行するのに必要な資質は、一言で言い表すと「システム化対象(業務)に関する深い理解」と「ソフトウェア工学に関する知識と、その適用力」です。
「ソフトウェア工学」の定義は、IEEE std 610-1990 によると、
①ソフトウェアの開発・運用・保守にたいする系統的で統制され定量化可能な方法(工学 engineering)の適用
②その(上記①)の研究\r\nと定義されています。
従って、上級SEとしての役割を全うするためには、(1)システム構築(ソフトウェア開発)手法に関する知識、(2)システム運用に関する知識、(3)システム保守に関する知識 が求められます。
また、システム化対象(業務)についても、表面的でない知識が求められます。以下に、少しだけ例を挙げておきたいと思います。
(例1)売掛金管理
請求額=支払われる金額ではない
分割払いされる事もあるし、手数料・金利等が差し引かれる事もある。
また、クレーム等で値引きをする(勝手に値引きされる)場合もある。
消費税も明細で計算するか合計で計算するかで端数が違ってくる。
外貨建ての決済の場合は、為替レートや期末洗い替えの考慮も必要である。
等を(整理する必要があることを)理解しておく必要があります。
(例2)在庫管理
管理対象は、現物在庫なのか経理在庫なのか?自社在庫だけでなく、預け・預かりも管理するのか?
管理単位は?ケース管理とバラ管理は?
注文との個別紐つけ要否?
等を(整理する必要があることを)理解しておく必要があります。
対象業務についての深い理解については、すべてをとても書ききれませんので、これくらいにして、次稿以降では、ソフトウェア工学について整理していきたいと思います。